粿粉│各種米粉料理ベース

難易度:☆ 調理時間:一瞬
中華米料理シリーズ。今回はちょっと趣向を変えて台湾で使われる米を粉にした各種の食材を作り方とあわせて紹介します。紹介するのは『米漿』、『粿粉團』、『水磨粉』、『潮粉』、『生粉』、『熟粉』の六つ。一部はそのまま食べられます。

今回は日本統治時代の台湾の米の話を少々いたしましょう。

日本統治が始まってから1910年代後半まで、実は台湾ではほとんど蓬莱米、いわゆるジャポニカ米(今我々が普通に食べている米のことです)は生産されていませんでした。代わりに生産されていたのが在来米、いわゆるインディカ米(タイ米などの細長いタイプの米)です。

総督府がやってきてまず手をつけたのは台湾で生産されていたインディカ米の"把握"です。どんな品種があるのか、どうやって作っているのか、どれだけの収穫があるのか、病気は、肥料は、加工方法は…とあらゆる統計を厳密に取り、分析しました。

その結果様々なことが分かったのですが、中でも面白いのは台湾で作られているインディカ米には"約1400種類(雑種含む)"ほどの品種が雑多に栽培されていたこと。今現在日本で市場に出回っている食用米の品種数が250種類くらいなので、あまりにも膨大な種類がめちゃめちゃに作られていたことがわかります。総督府は1907年からこれを整理、病害に強く、収穫率が高く、味が良く、栽培が容易な種を10数年かけて選別、同時に栽培を奨励していきました。これにより統治前後の台湾インディカ米の単位あたりの収穫率は実に二倍 (それでも現在の半分ほどですが…)ほどに増えることになります。これと平行してすすめられたのがジャポニカ米の導入で、インディカ米の研究と平行して、台湾の気候に合った品種の選別、栽培実験を重ねていきました。ジャポニカ米の栽培が統計に登場するのは1920年からで、導入と同時に一気に栽培が拡大し「農業台湾」の名を内地に轟かせることになったのです。

米(特にジャポニカ米)の栽培が拡大していくにつれて総督府の頭を悩ませる一つの問題が発生しました。日本統治開始時の台湾農業の中心は"製糖”で、主要な経済作物として栽培が奨励されていました。ところが米の栽培の方が儲かるとなると砂糖栽培をやめて米農家に鞍替えする農民が続出し、砂糖の生産量が低下するという「米糖相克」が起きるようになったのです。この時期の「米糖相克」は経済学的には非常に面白いテーマで多くの研究論文があります。

とまぁ、日本統治時代の台湾の米栽培については、製糖、製樟脳や果樹、灌漑、そして当時の貿易や内政、外交、そして戦争と密接に係わっています。ちなみに総督府時代の統計データはまだ完全にデジタル化されていないので、データをまとめて分析するだけで様々な発見があり、場合によっては学術論文になることも。興味と根気があるかたは総督府時代の統計データ分析に挑戦してみてください。面白い結果が得られたらぜひ教えてくださいね!


米漿
[材料]
米 ……… 適量
水 ………適量

[作り方]
1.米をよく洗い、3時間に浸けておく(→Point参照)。

2.ミキサーで米と同じ高さまで水を入れてざっくり粉砕したら、米の倍の高さまで水を入れて数度に分けて細かく粉砕する。

3.ミキサーに米を入れたまま5分ほど放置し、液体が二層に分かれたら再び粉砕する。これを二、三度繰り返し均一な液体が出来たら完成。

Point!
玄米を使っても作れます。玄米を使う場合は5時間ほど水に浸けておきましょう。

飲用する場合は必ず加熱して半透明の液体にしてから飲みましょう。

これをフライパンの上などに薄くひいて加熱し、取り出して千切りにすれば『河粉、phở│フォー』の完成です。

果粉團
[材料]
米漿 ……… 適量

[作り方]
1.加熱していない米漿を綿袋などに入れて口をきつく縛る。

2.作り方1の袋に重石をのせるなどして圧迫し、1時間ほど放置して水分を抜く。

3.水分が抜けたら袋から取り出して完成。

Point!
染み出した液体には水溶性の米の栄養成分が大量に含まれており、こちらも各種料理に使います。加熱して砂糖を加えるなどし、そのまま飲んでもOK。

これを成形し、蒸す、煮るなどしたものを各種料理に用います。水分が足りない場合は染み出した液体を少量加えて成形しましょう。


水磨粉
[材料]
米漿 ……… 適量


[作り方]
1.加熱していない米漿を綿袋などに入れて口をきつく縛る。

2.作り方1の袋に重石をのせるなどして圧迫し、1時間ほど放置して水分を抜く。

3.水分が抜けたら袋から取り出し天日、または扇風機の前などで乾燥させる。時々手で粒を割るようにして完全に乾燥させたら完成。
Point!
もち米で作ったものを『元宵粉』、インディカ米で作ったものを『做粿粉』と呼びます。

完全に乾燥させたものは特に夏場、空気中の水分を吸って粘りが出ます。乾燥剤と一緒に保存するか冷凍庫などに保管しておきましょう。


潮粉
[材料]
米 ……… 適量

[作り方]
1.米をよく洗い、水に10分から3時間ほど浸けておく。

2.作り方1の米の表面が爪でかき取れる水を吸ったら取り出して水気を切る。

3.ミキサーに水気を切った米を入れ、そのまま粉砕して完成。

Point!
米の表面だけが水を吸った状態で粉にする特殊な料理です。江南一帯で米粉ケーキを作るときなどに使う特殊な米粉です。通常の米粉よりパラパラ、さっぱりした料理が出来ます。分厚い米粉料理を作るときには欠かせません。

一日ほどしか保存できないため市販はされていません。必要な時に自分で作らないといけません。





生粉
[材料]
米 ……… 適量

[作り方]
1.米をよく洗ったら水気を切り、一度完全に乾燥させる。

2.ミキサーにかけて粉砕して完成。

Point!
いわゆる米粉です。無洗米を使うと粉砕するだけで作れます。

市販のものはもち米を使った『鬆糕粉』と、普通の米を使った『硬米粉』に分けられます。もち米を使った『鬆糕粉』は上記『潮粉』の代用品として使われています。


熟粉
[材料]
米 ……… 適量

[作り方]
1.米をよく洗い3時間ほど水に浸けておく。

2.取り出して水気を切り、一度完全に乾燥させる。

3.フライパンを加熱して作り方2で乾燥させた米を入れ、中火で20分かき混ぜながら炒める。 米全体が薄い黄色になったら火を止め荒熱を取る。

4.作り方3の米をミキサーに入れ、粉砕したら完成。

Point!
台湾では別名を『糕仔粉』といい、特に茶菓子を作るときに使われます。米特有のもっちりした重たい感じがなくなり、香ばしい香りがします。

通常は作る料理に合わせてもち米とうるち米を一定の比率で混合して作ります。また各地で炒める時間がずいぶん異なり、出来上がりの色も様々です。台湾では比較的長時間、蘇州あたりでは一度蒸したものを乾燥させ、短時間だけ炒めて完成させます。



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