花仁拌兔丁│兔肉とピーナッツ炒め

難易度: 調理時間:1時間以内
当ブログでは初のウサギ料理『花仁拌兔丁│兔肉とピーナッツ炒め』のレシピを紹介します。四川省は自貢地方の名物料理です。

まずはウサギ肉を手に入れましょう。普通のスーパーでは売っていないと思うので、通販で買うのが間違いありません。


今でこそあまり食卓に上ることのないウサギ肉ですが、今ほど牛、豚の畜産業が発達するまでは日本でもけっこう一般的に食べられていたそうです。日本に点在する貝塚からもウサギの骨が見つかることから、縄文時代(以前)から食用にされていたと考えられています。世界を見渡しても、もともとウサギが生息していないオーストラリア、南極などの地域以外では、広く食用にされています。肉質は非常に柔らかく、ミンチにするとよく粘ることから、つなぎとしてハンバーグ用のひき肉に混ぜられることもあるそうです。中華料理でも牛豚ほどではありませんが、地域によってはよく食材に使われ、特に内陸の山岳地帯、雲南省や四川省の一部地域では名物料理となっています。繁殖力が強く昼行性で、手ごろな大きさ、しかし全力で走るときは速度は時速70kmに達するそうで、世界中で狩りの対象ともなっています。

古代中国では兔を題材とした故事成語も多く、日本語にも多くが取り入れられています。中国でも日本と同じように月にはウサギがすんでいると考えられており、日本の民俗とも関連ありそうです。以下に月のウサギから始まる壮大なストーリーを簡単に綴っておきます。

その昔中国伝説上の王である舜がもうけた10人の子供たちは、交代で地上を照らす役割を担っていました。しかし次王の堯の時代、この10人の子が一度に地上を照らすようになり、地上は大干ばつに見舞われます。困った堯は羿(げい)という男に頼んで、10人の子を一人残して射殺してもらいます。この残った一人の子が今の太陽です。しかし先代王の舜は子供を殺されたことから怒り、羿は妻の嫦娥(こうが)と共に神籍を剥奪され不老不死の霊力を取り上げられてしまいます。

この羿の妻嫦娥が後にウサギと共に月に住むことになる女神です。続きを見てみましょう。

不老不死の力を失い地上に降りた羿らは、仙女のボスである西王母に頼んで不老不死の霊薬を頂戴します。この不老不死の霊薬は二人で分けて飲めば二人とも人として不老不死になれるだけでしたが、一人で飲むと神の座に返り咲けるといういわくつきのもの。神としての地位に戻りたがった嫦娥は、これを独り占めして飲んでしまい神の霊力を取り戻します。しかしさすがに申し訳ないと思ったのか、天に戻ることをためらい、代わりに月に向いました。しかし夫を裏切った嫦娥はヒキガエルに姿を変えてしまい、お供のウサギと共に孤独に月に住むことになりました。

…というお話です。古くは中国の古典《淮南子》に記載されている物語で、上手く間を補完すれば日本の《竹取物語》にもつなげられそうな物語ですね。

中国の遺跡調査によると秦代にはすでに太陽には「三本足の烏」、月には「ヒキガエル」がすむと考えられていたようです。当時はこのヒキガエルによって月の満ち欠けが起こると考えられていました。端午節で有名な屈原の著した天文書《天問》には「夜光何徳、死則又育。厥利惟何、而顧菟在腹」という記載があります。「月はいったい何のために満ち欠けを繰り返すのだろうか?どういう意図があってその内に“顧菟(ヒキガエル)”を飼っているのか?」というような意味です。この「顧菟」という単語、実は後代になると「顧兔」という風に書き間違えられ、一説によるとウサギが月に住むという故事は、この漢字の書き間違いによって生まれたと考えられてもいます。

毎年八月十五日(中秋節)に中国で月餅を供えるのは、羿が妻への再開を願って供えたものが発祥です。これが日本に伝わりお月見の団子となります。また羿が太陽を射抜いたという故事は、滋賀県などの一部地域で行われる月の的を避け、太陽の的だけを射抜くという神事の由来にもなっています。

一方、太陽の中に住むとされる三本足の烏は、紀元前37年に高句麗を建国した東明聖王の旗印としても有名です。東明聖王の父とされるのが扶余の金“蛙”王というのも奇妙な一致ですね。東明聖王が三人の友と共に川を渡るときに魚やスッポンが浮かんできて対岸に渡るというのも…どこか因幡の白兎の物語を彷彿とさせます。

ちなみに日本では三本足の烏が神武天皇を熊野から大和へと導いたという古事記の物語が有名でしょう。三本足の烏を旗印とする民俗が、古代中国から数千年をかけて朝鮮半島を下って日本に渡ってきたという壮大な物語です。物語発祥の地、中国に残された太陽に住む鳥は、後に霊鳥朱雀や鳳凰の伝説に変化します。

南の朱雀…と言われるように、太古中国南部に物語の根源があるのかもしれません。そういえば中国の南、タイやインドにはガルーダと呼ばれる霊鳥の伝説が残されていますね…。ガルーダはは龍(中華王朝の紋章!)を食べて生きるそうです。あと不死の霊水アムリタを巡る争いというものがあったり…。この伝説が長い時間をかけて日本にまで伝わってきたのかも知れませんね。

細かいことを書き出すとキリがないのでこの辺で。ウサギ肉を食べるときは、難しいことを考えながら食べましょう(笑)。


[材料1]
ウサギ肉 ……… 250g
ネギ ……… 50g
ピーナッツ ……… 75g

[材料2]
ショウガ ……… 10g
ネギ ……… 10g
塩 ……… 20g
水 ……… 1000cc

[調味料]
醤油 ……… 大さじ3
味の素 ……… 3g
砂糖 ……… 2g
ごま油 ……… 10g
ラー油 ……… 大さじ1

[作り方]
1.材料2のショウガを薄切りに、ネギをぶつ切りする。鍋に水を沸騰させ、ウサギ肉とのこり全ての材料2を入れ、蓋をして茹でる。時々ウサギ肉を取り出して火が通っているかを確認する。ウサギ肉から骨を外せる位まで火を通したら、包丁などを使って骨を外して2cm角のさいの目に切っておく。

2.材料1のネギはみじん切りにする。

3.フライパンにラー油をいれ弱火で熱し、ピーナッツを炒めて火を通す。続いて残りの調味料を全て加えてよく混ぜ合わせ、作り方1のウサギ肉と作り方2のネギを入れて調味料と絡めながら中火でさっと炒めて完成。

Point!
ウサギ肉を茹でるときは骨が肉から外せるかどうかが、火が通ったかどうかの基準になります。もちろん茹で立ては熱いのでフォークなどを使って取り出しましょう。

醤油の代わりに各種調味料を混ぜ合わせたものを使うと味に深みが出ます。ケチャップと醤油を混ぜ合わせたものに少量の豆豉やニンニクを刻んだものを使うなど、オリジナルの調味料で味の幅を広げましょう。

ピーナッツはおつまみ用などあらかじめ火を通したものを使うと簡単です。


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